災害研究の動向(概説)
過去の主な災害

 ここでは、過去の主な災害を取り上げ、その災害の概要を紹介していく。災害因の分類の項でも既に示したように、災害を大きく分けると自然災害と人為災害の二つになる。
 自然災害には、主なものとして、1) 台風等の風災や降雨災害、豪雪による雪害などからなる気象災害、2) 地震災害、火山災害や地滑り災害などからなる地変災害、3) 伝染病等の動物災害があげられる。
 日本の災害として代表的なものは、台風等に見られる風水害である。死者千人を超える大規模なものだけとりあげても、枕崎台風、カスリン台風、洞爺丸台風、伊勢湾台風などがあげられる(→「日本の主な風水害」一覧)。とくに伊勢湾台風は、戦後の災害対策にとって原点になった災害である。また、豪雪による雪害などは、地域的に偏りがあるだけに被害が多発する地域にとっては影響が甚大であり、従来から過疎化への引き金となってきた。
 また、地震災害は、津波、建物・施設等の倒壊、同時多発火災と延焼、ライフライン等の途絶による被害の複合性・波及性、情報連絡、避難生活、災害後の復旧対策など、総合的な防災行政全般に関連しているだけに、日本ではとくに防災行政の中心的な目標におかれてきた。関東大震災をはじめ、その時々の地震によって顕在化した弱点を教訓にしながら対策を積み上げていくことで、防災行政が進んできたともいえよう(→「日本の近年の主な地震関連災害」一覧)。とくに、1995年1月にはじまる阪神・淡路大震災は、人的被害の規模の大きさ、中高層建築物や都市施設の衝撃的な被害など、直下型地震の怖さを人々に焼き付けた。同時に、被害の階層性の顕在化、高齢者等災害弱者への対策の必要性、災害ボランティアの活躍、生活再建の厳しさなど、今までの災害現象では比較的注目されなかった、やや質の違う社会的課題を提起したといえよう。
 火山災害としては、火砕流や土石流といった被害形態の特徴のほかに、火山活動が活発化したのち収束するまでにかなりの時間が経過するため、雲仙・普賢岳噴火災害に典型的にみられる避難生活の長期化過程、生活の復旧・復興過程が課題になる(「日本の近年の主な火山災害」一覧)。
 人為災害としては、都市公害、産業災害、交通災害等があげられる。ここでは、とくに言及はしないが、自然災害のもつ人為的性格をも視野に入れると、今後、人為災害を含めて比較検討をし、論じていく必要性があろう。

参考文献

萩原幸男編『災害の事典』朝倉書店 1992

丸善『理科年表』

国土庁『防災白書』ほか


「日本の近年の主な風水害」一覧
枕崎台風 1945年9月17日 西日本、とくに広島。死者2473人
カスリン台風 1947年9月14日 関東以北、とくに東京、埼玉。死者 1041人
洞爺丸台風 1954年9月25日 全国。死者1327人
諫早水害 1957年7月25日 九州、諫早周辺。死者856人
狩野川台風 1958年9月26日 近畿以東、特に静岡。死者890人
伊勢湾台風 1959年9月26日 高潮被害。九州を除く各地方、とくに愛知。死者4700人
36年6月豪雨 1961年6月24日 山陰・四国〜関東、とくに伊那谷。死者302人
第二室戸台風 1961年9月15日 全国畿。死者194とくに近人
38年1月豪雪 1963年1月 山陰〜山形、岐阜、滋賀。死者228人
台風24・26号 1966年9月24日 中部、関東、東北。 死者275人
42年7月豪雨 1967年7月8日 中部以西、とくに長崎、広島、兵庫。死者351人
47年7月豪雨 1972年7月3日 全国、とくに北九州、島根。死者410人
長崎豪雨 1982年7月10日 関東以西、とくに長崎。死者・行方不明 345人

「日本の近年の主な地震関連災害」一覧
関東大震災(M7.9) 1923年9月1日 延焼火災拡大。死者・行方不明者142000余人
三陸地震津波(M8.1) 1933年3月3日 北海道・三陸沿岸に津波被害。死者1522人
鳥取地震(M7.2) 1943年9月10日 死者・行方不明 1000人以上
東南海地震(M7.9) 1944年12月7日 死者・行方不明 1200人以上
三河地震(M6.8) 1945年1月13日 死者・行方不明 2300人以上
南海地震(M8.0) 1946年12月21日 死者・行方不明 1300人以上
福井地震(M7.1) 1948年6月28日 死者・行方不明 3769人
チリ地震津波(M8.5) 1960年5月23日 太平洋沿岸、津波。死者・不明 142人
新潟地震(M7.5) 1964年6月16日 地盤液状化、津波被害。死者・不明 26人
十勝沖地震(M7.9) 1968年5月16日 死者・不明 52人
伊豆半島沖地震(M6.9) 1974年5月9日 死者・不明 30人
伊豆大島近海地震(M7.0) 1978年1月14日 死者・不明 25人
宮城県沖地震(M7.4) 1978年6月12日 死者・不明 28人
浦河沖地震(M7.1) 1982年3月21日
日本海中部地震(M7.7) 1983年5月26日 日本海沿岸津波被害。 死者・不明 104人
長野県西部地震(M6.8) 1984年9月14日 死者・不明 29人
北海道南西沖地震(M7.8) 1993年7月12日 死者・行方不明 230人
阪神・淡路大震災(M7.2) 1995年1月17日 死者・行方不明 6300人以上

「日本の近年の主な火山災害」一覧
有珠山噴火 1977年8月7日 二次泥流
三宅島噴火災害 1983年10月 3日 溶岩流、阿古部落埋没
伊豆大島噴火災害 1986年11月15日 溶岩流、住民1万人島外避難
雲仙・普賢岳噴火災害 1991年6月3日 火砕流、土石流、避難生活長期化



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