三条西実条懐紙・三条西諸家懐紙
 早稲田大学中央図書館の三条西家旧蔵書は、1950年11月に収蔵された資料群を中心に、若干の追加を合わせ現在にいたっている(請求番号:特別ヘ2?4867)。今回その中から、三条西実条懐紙(?45)および三条西諸家懐紙(?46)の呼称で整理されている詠草類を、デジタル画像のデータベースとして公開することとした。これらの詠草類は、実条146部147枚、諸家101部102枚にのぼるが、多くは折紙詠草ないし竪詠草である。そこには批点や評語が付されたものも含まれる。さまざまな草稿の過程を見出すこともできる。歌人がどのように和歌作品を創作し、批評を受けて表現を定めていったのか、そうしたプロセスをうかがい知る生資料としてまことに貴重である。

 また、近年、カリフォルニア大学バークレー校の旧三井文庫本中に含まれる三条西旧蔵資料と早大本との関係が注目され、両者は第二次世界大戦後に放出された三条西家蔵書のうちの、ある共通の山が分割されたものと思しいことが報告されている。実条および諸家懐紙についても、ツレないしは関連資料が太平洋を挟み分蔵されているというのが現状である(バークレー本の写真は国文学研究資料館で閲覧可能)。
 こうした状況の中、当該資料の画像公開がどのような研究効果をもたらすか注目したいと思う。なお、当該資料の書誌調査に当たっては、1998年度、早稲田大学大学院文学研究科に大学院生または科目等履修生として在籍した下記の諸君の協力を得た。

江口文恵 大越潔 奥山陽子 加畠吉春 小林大輔 酒井茂幸 新美哲彦 西島三千代 半澤紀子 柳町敬子 和田哲子 [五十音順・敬称略]

研究文献
(1) 井上宗雄・柴田光彦「早稲田大学図書館蔵 三条西家旧蔵文学書目録」
(『国文学研究』32 1965年10月)
(2) 井上宗雄『中世歌壇史の研究 室町後期』
(1972年12月初版 1987年12月改訂新版 明治書院)
(3) 柴田光彦「三条西実条懐紙」
(伊地知鐵男編『中世文学 資料と論考』 1978年11月 笠間書院)
(4) 井上宗雄「三条西実条の詠草について」
(樋口芳麻呂編『王朝和歌と史的展開』 1997年12月 笠間書院)